ニチイ

事例9 毎日行う転倒予防

~転倒不安を解消するために~

発表者
石村 美代子(看護職員)

ニチイケアセンターうわじま(通所介護)

お客様プロフィール

T様 / 80代 / 女性
要介護度 要支援2
課題
  • 膝の痛みがあるために、歩き始めに時間がかかり、歩行時床から足が上がっていないという自覚がありました。
  • 過去に自宅で少しの段差でつまずいたことがあり、独居の自宅で転倒しないか不安がありました。

取り組み

仮説

「つまづき」に着目した下肢筋力向上のトレーニングをデイサービスと自宅で毎日実施することで、歩行状態が改善し、転倒不安が解消され、転倒予防につながるのではないかと考えました。

取り組み内容

  • デイサービスで行う転倒予防体操に加え、歩行改善に有効な体操を選び、(特に爪先、大腿、ふくらはぎが強化される体操)2ヶ月間、週2回のデイ利用時と自宅で日に2回体操を実施しました。
  • 自宅での体操実施の確認はカレンダーの日付部分を午前、午後に分けて作成したチェック表に色を塗っていただきました。
  • 体操実施前と後で「転倒不安感尺度」と、「爪先と踵の上げ幅の測定」、「歩行スピード測定」(5m歩行と椅子から椅子への折り返し3m歩行)を行って比較しました。

結果

  • 爪先と踵の上げ幅は左右とも改善がみられました。歩行スピードも体操実施後の方が速くなり、歩き始めがスムーズになりました。下肢筋力が向上したことにより転倒不安感尺度の数値も改善されました。
  • 膝の痛みが改善され足が軽くなり楽になったと実感され、転倒への不安が軽減されました。

考察

T様の転倒要因を分析し、「つまづき」に着目した体操を継続して行うことで、下肢筋力の向上を図ることができ、T様の転倒不安の減少に繋げることができました。

個人の転倒しやすい要因を探ることで、どこを重点的にトレーニングすると効果的なのかが分かり、より個別的な転倒予防対策ができると考えられます。

結論

転倒要因は、内的要因、外的要因が影響し合って起こるため、運動要因だけでなく、包括的にアプローチしていく必要があり、薬物要因などデイサービスで対応出来ない部分に関しては、関係機関と協力し、アプローチする必要があると考えます。

デイサービスでの何気ない会話の中には、お客様の生活の質をも向上させるヒントがあることを忘れずに、お客様一人ひとりと向き合って行きたいと思いました。