ニチイ

事例10 「地域の見守りの中でその人らしく」

発表者
市川 明代(ケアマスター・介護支援専門員)

ニチイケアセンター大谷口(居宅介護支援)

お客様プロフィール

K様 / 60代 / 男性
要介護度 要介護3
課題
  • 環境整備ができていませんでした。
  • 不規則な生活を送っていました。
  • 孤独感がありました。

取り組み

仮説

  • ヘルパーとの共同作業をすることで快適な空間を実感し、意欲向上できるのではないかと考えました。
  • 訪問介護や通所介護の利用を通じ、他者と関わることで、健康や清潔に対する意識が変化するのではないかと考えました。
  • 外出の機会や通所介護に加え、地域の方との関わりが持て、生活への楽しみができれば、孤独感がやわらぐのではないかと考えました。

取り組み内容

  • K様がヘルパーの訪問に慣れて頂くため、傾聴や容認、理解を示しながら対応しました。
  • K様の意思を尊重しながら、誰かが訪問中は飲酒をしない、タバコは控えるなど、飲酒や喫煙は体に良くないことを常に声かけしました。また、入浴に関しては、浴室を清掃し、入浴を促す声かけを行いました。通所介護の利用も開始され、看護師による定期的な健康管理が行われました。
  • K様がこもりがちな生活とならないように、ヘルパーとの買物外出を行い、地域の方との交流の機会を増やしました。

結果

  • 入浴では、「気持ちよかった」「さっぱりした」と言う声も聞かれ、ヘルパー訪問時や外出する際の入浴、着替えは習慣になり、衛生面の大きな改善を図ることができました。
  • 通所介護を利用することでKさんの健康に対する意識が変化し、バランスの取れた食事を心がけるようになりました。通所介護の行事に意欲的になり、他者との交流もスムーズで表情が明るくなり、笑顔が見られるようになりました。

考察

多くの関係者の関わりにより、バランスの良い食事が増え、飲酒量も減り、入浴、着替えは習慣になり、当初の状態よりは改善されたと思います。普段の生活を取り巻いている地域の協力と理解、見守りがあったことでK様らしく、1人暮らしが続けられているのだと思います。地域の方々からヘルパーやケアマネジャーに対しても、声をかけてくれることが多くなり、K様を通じて、事業所と地域の方々との繋がりが持てています。

今回、「地域ケア会議」を通じて、地域包括支援センターの助言や多職種の方からの意見で多くを学ばせていただき、K様と地域の方々とのパイプ役を担えたと思っています。

結論

地域の方々から提供された情報をもとに、「地域ケア会議」を通じて、様々な社会資源やサービスを活用しながら、地域で在宅生活が継続されているケースです。しかし、このようにスムーズな解決に繋がらず、地域の方々が高齢者の課題を発見されても、相談をする場もわからず、課題解決に至るまでに相当の時間を要する場合も多々見られます。ケアマネジャーの責務として、地域で高齢者を支えるネットワークを構築しつつ、情報を発信していく必要を感じました。今後、私たちは、より地域に根ざした事業所となるように努めたいと思います。