ニチイ

研究6 地域性にとらわれない有効な営業手法の確立

発表者
奥村 摂世
平良 彰浩(奈良支店:ニチイケアセンター榛原の管轄支店)

ニチイケアセンター榛原(訪問介護)

研究にいたる背景

奈良支店内の管轄拠点であるNC榛原は、山間地域に位置し、サービス提供エリアが広く、営業先となる医療機関などが少ない等さまざまな営業面での課題を抱えていた。

しかし、会社方針を踏まえ、積極的に独自の営業手法で新規の利用者を獲得し、売り上げを伸ばすことに成功していた。

当該拠点の取り組みは、拠点の立地条件にかかわらず、奈良支店管轄内のどの拠点でも有効な営業手法であると考えた。

また、拠点が自ら考え、行動したその取り組みに着目し、管理者が"営業"の意味を理解し、納得して自ら行動できるような営業手法を確立できれば、全拠点の自律を促し、新規顧客の獲得に繋がるのではないかと考え、『地域性にとらわれない有効な営業手法の確立』に関する研究に取り組んだ。

研究目的

地域性にとらわれない有効な営業手法を確立し、『拠点の自律』と『支店の組織力強化』に繋げることで、営業の質を向上し、新規顧客獲得に繋げる。

研究方法

仮説

ニチイケアセンター榛原の成功した背景にどのような取り組みを行ったかを確認し、営業における他の拠点との違いを分析。以下の3つの取組みを行うことで地域性にとらわれない有効な営業手法が確立でき、新規獲得に繋がるのではないかと考えた。

  • 医療機関との連携
  • 地域ケア会議や事業所連絡会への積極的な参加
  • 個別援助計画書・サービス状況報告書の精度向上

研究手法

介入研究

研究対象

計20拠点(訪問介護拠点 14拠点、通所介護 6拠点)

評価方法

新規獲得件数

新たな営業手法を用いた介入方法

拠点へ営業手法を周知する際に、ニチイケアセンター榛原のセンター長(管理者)による成功事例の発表も含めることで、全拠点が具体的に理解し、納得したうえで行動できるよう、拠点の意識向上に繋げた。

  • 医療機関との連携強化
    訪問介護・通所介護のサービス責任者などに対し、医療機関への営業の重要性について理解できるよう再度、説明を行った。医療機関への営業は、地域の中で医療機関との連携を図り、ニチイ学館のサービスがお客様を地域で支える基盤となれることを説明した。
  • 地域ケア会議や各サービス連絡協議会への積極的な参加
    参加状況を確認した結果、案内に従い受動的に参加している拠点が多かったことから、参加の目的を説明した。地域ケア会議や各サービス連絡協議会に出席することで、ニチイケアセンターの知名度が向上し、信頼獲得に繋がることを伝えた。
  • 個別援助計画書・サービス状況報告書の精度向上
    精度向上の必要性、改善点、取組み事項の説明を実施し、支店にて専門職でなくても内容指導が行える基準を作成した。 基準に照らし合わせて、各拠点の個別援助計画書・サービス状況報告書の内容の精査を行い、指導が必要と判断した12拠点に『計画書作成研修』を実施した。

研究結果

拠点ごとに新規獲得状況に差はあるが、医療機関との連携、サービス事業所連絡会への積極的な参加、個別援助計画書・サービス状況報告書の精度向上に取り組むことで地域にとらわれない営業手法の成果が得られた。

さらに、拠点が自主的に行動した内容が、より地域性やサービス特性を活かした営業ができ、成果を得ている拠点もあった。

(参考:新規獲得件数)

  • 医療機関との連携強化
    一部拠点にて3ヶ月間で新規4件を達成
  • 地域ケア会議や各サービス連絡協議会への積極的な参加
    一部拠点にて3ヶ月間で新規10件(純増6件)を達成
  • 個別援助計画書・サービス状況報告書の精度向上
    一部拠点にて3ヶ月間で新規10件、見学者9名を達成

考察

医療機関との連携、サービス事業所連絡会への積極的な参加、個別援助計画書・サービス状況報告書の精度向上に取り組むに当たって、営業の目的や根拠を明確にし、営業に対する意識の向上が図れたことで、地域性にとらわれない営業手法の確立ができたと考える。

また、仮説で取り組んだ3つに加え、自主的に拠点が考え、工夫して営業を行っていた拠点もあり、『拠点の自律』に大きな成果が得られたと考える。

今回の研究を通じて、営業に対する意識が変化し、特に個別計画書の作成について自信をつけ、営業に対する積極性も出てきた。 なお、現在一部のエリアで有効な結果が認められ、さらに継続して本取り組みを強化していく必要がある。

結論

拠点が行動できるレベルまで指導するには、『なぜ、そうする必要があるのか』『どのような効果があるのか』等を、管理者が理解でき、納得し、行動イメージができるように指導することが大切であることを、今回の営業手法の研究を通し改めて認識した。

しかし、このプロセスは営業のみならず、サービスの質の向上や、コンプライアンス等すべての業務において共通することであり、常に認識し取り組むべきであると考える。

また、拠点の意識を向上させ、それぞれの自主性を引き出し、自ら行動できることが、拠点の自律に繋がり、各拠点の組織力の強化、ひいては支店全体の組織力強化に繋がると考える。

今後も継続して、地域に根ざした拠点としての自律をはかり、支店全体の組織力を磐石にしていきたい。